ギターの弦が錆び付くのが早い。
「てめぇが弾かねぇから、すっかり錆びちまったじゃねぇかよ」
そんな声が奴から聞こえる。すまんかった。弾く気になれない夜もあるんだ。
人前で歌う時、僕はどれだけ本当の自分をさらけ出すことが出来てんのかな。
仮にも僕が思っていることを、僕の好きなメロディで歌って、なおかつそれを聴いて誰かが共感してくれる。そんな素敵なことが少しでもたくさん起こればいいなって、本当に思ってる。
ちょっとこっぱずかしいけど、音楽で人の心を変えることが出来ると信じてる。だって少なくとも僕はいろんな音楽に自分を変えられたから。
でも、ことさら他人の目や言動が気になって、ズルズル引きずってしまうのも事実。
そんな自分が嫌でたまらなくて、何気なくもう一人の自分への励ましの意味を込めた唄だってある。どれとは言わないけどね。
だからなおさらステージの上での僕はありのままの僕でなきゃいけないと思ってた。
だけど、ステージを降りた後、いつもなんかギクシャクしてて、楽屋でもう一人の僕はいつも溜め息をついてた。
見に来てくれた人がどれだけありがたい言葉をかけてくれたとしても、感謝こそすれ満足なんか一度もしたことないんだ。
ずぅっと感じてた。
ずぅっと考えてた。
こんだけ考えてダメなら、何も考えないでいよう、そう思ってがむしゃらにギターを掻きむしってマイクにかじりついても、なんだか空回りした感覚はいつも僕の2歩後ろくらいをついて来てた。
今考えれば、あの娘はそんな僕に愛想をつかしたのかな、なんてぼんやり思った。
自分を自分以上のものに見せようと躍起になってた。自分の中で揚げ足取り合って、結局貫かなきゃいけないことがないがしろ。
ここまで書いてなんだか言いたいことがたくさんあってよく分からなくなってきた。でもなんとか書いてみるよ。
そういえばね、この間まで付き合ってた人にこう言われたんだ。
「余計なことを気にしすぎ。昔の男とか、その人とどこに行ったとかそんなの関係ないじゃん。大切な人を本当に大切にする気持ちがあればそんなこと気にするはずないのに。」って。
あぁそりゃ疲れちまうわな。そう思った。
彼女から笑顔を奪って、さらに偽りの笑顔を作らせた。
恋人と別れるっていう経験はそれまでも何度か味わってきたけど、その度ごとに心の中のどこかで自分は悪くないって信じ込んでる自分がいた。それに目を反らしていたならまだ救いはあるかもしんないけど、気付いてなかった。いよいよ救いがない。
彼女は勇気を持って僕のドブをさらってくれた。そのことに気付いた時、あとからあとから涙がこぼれて来て、ありがとうとごめんねがぐちゃぐちゃに混じってった。まるで絵筆を洗うバケツみたいに、二つの色が混じって混じって最後にはよく分かんない色になってった。
彼女は最後の最後まで僕を助けてくれた。
その時気付いたんだ。ステージでの僕も、恋人の前の僕もなんにも変わんないやって。
他人のことばかり気にして、大切なことを本当に大切に出来ていない。
ありのままの自分を見せようとするあまり、いつの間にか背伸びして、空しい自己満足。
偽りの自分のまま生きてきたような気がした。
それで誰かに何かを伝えようとは、おこがましいにも程がある。
嘘をついている人間の言葉を、虚勢を張っている者の言葉を、誰が信じるもんか。
今度は僕が勇気を持たなきゃいけない番だ。
自分らしくよりも人間らしく。
僕は僕の唄を歌わなきゃいけない。その為には誰がなんと言おうと僕でなきゃいけない。
僕は僕のまま、玄関の鍵を閉めて、電車に乗って、ステージに上がる。
まるで大切な人に会いに行くように。
「てめぇが弾かねぇから、すっかり錆びちまったじゃねぇかよ」
そんな声が奴から聞こえる。すまんかった。弾く気になれない夜もあるんだ。
人前で歌う時、僕はどれだけ本当の自分をさらけ出すことが出来てんのかな。
仮にも僕が思っていることを、僕の好きなメロディで歌って、なおかつそれを聴いて誰かが共感してくれる。そんな素敵なことが少しでもたくさん起こればいいなって、本当に思ってる。
ちょっとこっぱずかしいけど、音楽で人の心を変えることが出来ると信じてる。だって少なくとも僕はいろんな音楽に自分を変えられたから。
でも、ことさら他人の目や言動が気になって、ズルズル引きずってしまうのも事実。
そんな自分が嫌でたまらなくて、何気なくもう一人の自分への励ましの意味を込めた唄だってある。どれとは言わないけどね。
だからなおさらステージの上での僕はありのままの僕でなきゃいけないと思ってた。
だけど、ステージを降りた後、いつもなんかギクシャクしてて、楽屋でもう一人の僕はいつも溜め息をついてた。
見に来てくれた人がどれだけありがたい言葉をかけてくれたとしても、感謝こそすれ満足なんか一度もしたことないんだ。
ずぅっと感じてた。
ずぅっと考えてた。
こんだけ考えてダメなら、何も考えないでいよう、そう思ってがむしゃらにギターを掻きむしってマイクにかじりついても、なんだか空回りした感覚はいつも僕の2歩後ろくらいをついて来てた。
今考えれば、あの娘はそんな僕に愛想をつかしたのかな、なんてぼんやり思った。
自分を自分以上のものに見せようと躍起になってた。自分の中で揚げ足取り合って、結局貫かなきゃいけないことがないがしろ。
ここまで書いてなんだか言いたいことがたくさんあってよく分からなくなってきた。でもなんとか書いてみるよ。
そういえばね、この間まで付き合ってた人にこう言われたんだ。
「余計なことを気にしすぎ。昔の男とか、その人とどこに行ったとかそんなの関係ないじゃん。大切な人を本当に大切にする気持ちがあればそんなこと気にするはずないのに。」って。
あぁそりゃ疲れちまうわな。そう思った。
彼女から笑顔を奪って、さらに偽りの笑顔を作らせた。
恋人と別れるっていう経験はそれまでも何度か味わってきたけど、その度ごとに心の中のどこかで自分は悪くないって信じ込んでる自分がいた。それに目を反らしていたならまだ救いはあるかもしんないけど、気付いてなかった。いよいよ救いがない。
彼女は勇気を持って僕のドブをさらってくれた。そのことに気付いた時、あとからあとから涙がこぼれて来て、ありがとうとごめんねがぐちゃぐちゃに混じってった。まるで絵筆を洗うバケツみたいに、二つの色が混じって混じって最後にはよく分かんない色になってった。
彼女は最後の最後まで僕を助けてくれた。
その時気付いたんだ。ステージでの僕も、恋人の前の僕もなんにも変わんないやって。
他人のことばかり気にして、大切なことを本当に大切に出来ていない。
ありのままの自分を見せようとするあまり、いつの間にか背伸びして、空しい自己満足。
偽りの自分のまま生きてきたような気がした。
それで誰かに何かを伝えようとは、おこがましいにも程がある。
嘘をついている人間の言葉を、虚勢を張っている者の言葉を、誰が信じるもんか。
今度は僕が勇気を持たなきゃいけない番だ。
自分らしくよりも人間らしく。
僕は僕の唄を歌わなきゃいけない。その為には誰がなんと言おうと僕でなきゃいけない。
僕は僕のまま、玄関の鍵を閉めて、電車に乗って、ステージに上がる。
まるで大切な人に会いに行くように。
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