花起こしの雨

僕が初めて東京に来たのは小学生だっけかな。
長兄が大学で上京してて、春休みを使って母親と二人で遊びに行った気がする。

その時も今日みたいな雨が降ってて、
飛行機の窓にへばり付いてた僕は
風に舞う雨粒の向こうに見える東京の街がなんだかくすぐったかった。

なんていうか、夢の中みたいな。

そういえば、その後何度か東京に来た時も
やっぱり雨が降ってた気がする。
僕の中では、東京は雨が降ってるイメージなんだ。

強い雨ではなく
まるでBGMみたいな雨。

僕が大学に進学して静岡から東京の友達の家に遊びに行った時も
よく雨が降ってた。

金もないし
することもない。
だけど夢だけはいっちょ前にたいそうで、
それなりに悩んでもいた。

その時も雨は優しく降り注いでて
大手を振って歩けない僕らをかくまってくれた。
恥ずかしい僕らをそっと隠してくれたもんだ。


だからかな、雨が降ると優しい気持ちになれるのは。

そろそろ花が起き出す頃だ。

うたうたい 堺輝

うたうたい堺輝の綴るしょーもないアレコレや ライブスケジュールなど

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