昼下がりの小田急の車窓からは
セピア色の写真を眺めてるような、そんな想いを巡らせる。
乗客が少なくなった車内の床には、
昼間よりもオレンジ色を増した陽の光が
列車のカーブに合わせてスポットライトのように一人一人を照らし出す。
この季節になれば多くの人がセンチメンタルになってしまうのは
空気の色が、色褪せた写真のようだからではないかとふと思った。
何かを思い出してるわけではなくって、
「思い出してる」時の感情に似た感覚を
言ってしまえばノスタルジーを
呼び起こすんじゃないかなぁ。
そのノスタルジーが普段は蓋をしてる思い出を開けてしまうんだ。
忘れられないなら
いっそのこと
それすら背負って歩いて行けばいいのに。
人間の性だね。
そりゃそうだ、荷物は軽い方がいい。
人には見られたくないことだってあるもんね。
恋人が遊びに来るからって、
散らかってる部屋のものをとりあえず押し入れに押し込むのはやめた方がいいよ。
恋人が帰った後もきっとその押し入れは乱暴に詰め込んだままだもんね。
キレイに片付ける気なんてさらさらないんだろ?
でもね、きっと溢れ返るよ、そのうち。
大概、崩れ落ちるのは恋人がいる時だったりするから気をつけてな。
だったら最初から詰め込んだりせずに、最初からその部屋にあるものと思ってしまえばいいのさ。
だから僕は敢えて片付けない。
キレイに並べればそれなりにイケるもんだよ。
とても楽な気分だよ。
何を見ても顔がほころんでくる。
何かを疑うよりも
何かを信じる方が楽しいからね。
目をつむっても歩いて行ける
そんな気分だよ。
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