9月1日と言えば、夏休みが終わって新学期。
空を見上げれば入道雲はなりをひそめ、夏の名残を残しながら空の端から秋の色に染まり始める。
どこまでも青く澄み切っていて、なんでも出来そうな気分にさせてくれる。
絵の具でなかなか描けなかったな、あの空の色。
今の小学生とかがどうなってんのか知らないけど、少なくとも僕はこの日がなんとなく楽しみで、なんとなく不満で、そのどちらともないような顔をして学校に向かってた。
かっこつけて「学校かよ、だりぃなぁ」みたいな振りしてて、それでいて足ははやる気持ちに追いつけず何もないところでつっかかってしまいそうになったりする。
クラスメートに会ったら会ったで、「別におめぇに会うことなんか楽しみにしちょらんぞ」みたいに振る舞いながら、はにかんだその顔からはとびっきりの笑顔がにじむんだ。
男っちゅうもんは皆こんななんかな。
それとも九州男児は皆こんななんやろうか。
にしてもやっぱりこの日は特別で、約ひと月半振りに会うあの娘にちょっと日焼けした夏の勲章を見てもらいたかったりする。
ただ、なんせ南国宮崎の女の子だから、僕より日焼けして真っ黒になってる子なんていくらでもいるんだけど。
そんなことを考えながら昨日の晩眠りについたら、思いの外心地よい睡眠だったらしい。起きたら8時半だった。
バイトの始業は9時。
三軒茶屋から飯田橋に30分で着くなんて、無理無理無理無理。
新学期早々遅刻。
これじゃ入学式の次の日即遅刻した高校の頃と変わらんじゃないか。
ちなみに僕の出席番号の前後も同じように遅刻した。
入学早々遅刻して、入学早々新しい友達が出来た。
あいつら元気かなぁ。
不完全燃焼(と言っても別に完全燃焼を目指してるわけじゃないけど)なバイトを終えて、駅までの道で空を仰いだ。
あの頃僕が見た空と同じ空のはずなのに、えらく狭くなったなぁ。
空を見上げる癖は今でも残ってるみたいだ。
口笛でも吹いてみようかね。
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